曲目解説

頌栄541番「父、み子、みたまの」の主題によるフーガOP.31(1991)*販売譜

頌栄541番のコラール「父、み子、みたまの」をテーマにしたフーガです。私としては、初めて完結したフーガを作ることに成功した記念すべき曲です。テーマはコラールの前半のみを用い、速めのテンポで展開していきますが、最後のクライマックスではコラールの全体が勇壮に奏でられます。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第2集」)

「赤とんぼ」の主題による変奏曲 OP.32(1991)*販売譜

パルナソスホール委嘱作品

●CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第3集」曲目解説より

三木露風作詩、山田耕筰作曲の「赤とんぼ」を、バッハの時代のバロック様式を使って変奏した作品です。第七変奏では「花かげ」の旋律を背景に、短調に移調した「赤とんぼ」の旋律があらわれますが、これは第3節の「十五で姐やは嫁に行き、お里のたよりも絶えはてた」の場面をあらわしています。十五夜に嫁いでゆく姉の後ろ姿を見送る、寂し気な妹の心情をうたった「花かげ」と重ねあわせ、歌詞の持つ情感をより強く表現してみました。その後の変奏は、歌詞の内容から離れ旋律の持つ可能性をフーガで展開したり、半音階の華やかなトッカータで扱ったりしますが、最後は再び歌詞の世界にもどり、「止まっているよ竿の先」を暗示するように、静かな終止へとむかいます。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第3集」)

クリスマス狂騒曲 OP.33(1991)

おくとぱす委嘱作品

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

秋田民謡による幻想組曲 OP.34 (1992) 

①ひでこ節 ②姉こもさ ③秋田長持唄 ④秋田節 ⑤どんぱん節

初演 1992年5月16日 酒井多賀志オルガンリサイタル@秋田no.15

*初演時の酒井本人による解説の要約

この曲では5つの秋田民謡が  ①ひでこ節 ②姉こもさ ③秋田長持唄 ④秋田節 ⑤どんぱん節の順で登場します。最後のどんぱん節では、前奏の部分をテーマに、フーガにしてあり、各曲の間を私流の間奏で繋いでいます。今回初めてオルガンで作品を作ったので、複雑な展開はあまりやらず、民謡をオルガンに乗っけるとどんな感じになるかを大事に作りました。秋田民謡そのものは結構オルガンに合うのではないかと思いました。民謡の部分はそれほど作曲するときには凝らなかったのですが、繋ぎの部分をどうするかでかなり時間を費やしました。 *1995年4月15日にNHKホールにて録音され、NHKFMで放送された。

☆コラム☆

秋田オルガンリサイタル主催者・酒井貴氏(聖霊女子短大音楽科講師)より

1991年5月に行われた第14回オルガンリサイタル後のお酒もはいった打ち上げの場で、冗談半分に先生に「秋田民謡」を取り入れたオルガン曲を作曲して次回の演奏会の曲目として取り入れてみませんか?と話したところ、大変興味を持たれて、次の日、音楽科の書庫にあった秋田民謡の本から5曲選んで差し上げました。どの曲も秋田では誰もが知っている曲で、これなら聴衆の皆様もきっと喜んでくれると確信しました。

迎えた1992年第15回、1993年第16回、1994年第17回と3回続けて演奏されました。聴衆の皆様からは大喝采の曲となりました。⑤の「どんぱん節」では曲の最後がフーガとなり、見事な出来栄えで、オルガンによる「こぶし」のかけ方など本当に驚くばかりです。またこれに気を良くされたのでしょう。1996年第19回オルガンリサイタルでは「秋田おばこ」による幻想曲 作品43が作曲演奏され、大好評でした。

このように20年にも渡って秋田で演奏された訳ですから、身体の中に「秋田の魂」が流れていたのかも知れません。

バス、マンドリン、ピアノ、オルガンの為の4重奏「逝く春」による  五章 OP.35(1992)

恩地早苗委嘱作品

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

「谷川の水を求めて」による前奏曲とフーガOP.36(1993)*販売譜

「谷川の水を求めて、あえぎさまよう鹿のように、神よ、私はあなたを慕う」という詩篇に基づいて高田三郎氏が作曲した典礼聖歌をテーマにした前奏曲とフーガです。この曲の歌詞は、詩編42が基になっていて、その内容は(キーワードを抜粋)次に示すように、大変深刻なものです。


 神よ、鹿が谷川を慕いあえぐように、わが魂もあなたを慕いあえぐ。

 人々がひねもすわたしにむかって、「おまえの神はどこにいるのか」

 と言い続ける間は、わたしの涙は昼も夜もわたしの食物であった。

 わたしはわが岩なる神に言う、「何ゆえわたしをお忘れになりましたか。

 なにゆえわたしは敵のしいたげによって悲しみ歩くのですか」と。

 わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか

 神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。

(日本聖書協会:旧約聖書より)


前奏曲では、あえぎさまよう苦悩を描写し、フーガでは希望を表現しています。終結部のディミヌエンドは、死によっても否定されることのない、たえざる希望をあらわしています。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第3集」)

「夏の思い出」の主題による変奏曲 OP.37(1993)

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

典礼聖歌に基づいた3つの小品 OP.38(1993)*販売譜

第一曲 「幸せな人、神をおそれ」によるファンファーレ

第二曲 「小さなひとびとの」による幻想曲

第三曲 「愛といつくしみのあるところ」によるフーガ

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

賛美歌546番「聖なるかな」による変奏曲OP.39(1993)*販売譜

賛美歌546番の旋律は、ドイツリートの作曲家として有名な、F・シューベルトのドイツミサ曲の中からとられています。この変奏曲では、全部で7つの変奏が行われます。第1から第5変奏まではバロックの様式で、第6と第7変奏は現代の様式で書かれ、短い間奏のあとにテーマが再現されます。

典礼聖歌を基にした3つのトリオ OP.40(1995)*販売譜

第一曲 ごらんよ空の鳥

第二曲 ガリラヤの風かおる丘で

第三曲 主を仰ぎ見て

オルガン独奏の為のトリオは、バッハが非常に愛好した形式で、右手、左手、足鍵盤が全く自由な形で展開されます。今回現代のテーマを用いながら、この形式を取り上げたのは、バッハの歩んだ道をたどり、その世界を私なりに追体験してみようと思ったからです。新垣壬敏作曲「ごらんよ空の鳥」、蒔田尚昊作曲「ガリラヤの風かおる丘で」高田三郎作曲「主を仰ぎ見て」の3曲を、それぞれ急ー緩ー急の3楽章にまとめてみました。

◯第一曲:ごらんよ空の鳥

カトリックの典礼聖歌の代表的な曲で、歌詞は新約聖書ルカ伝12章24節から31節をベースに作られています。非常に明るく、慰めに満ちた曲です。

●CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第2集」曲目解説より

聖歌のメロディにオブリガートの旋律とバスが絡み、独奏楽器と通奏低音付きの軽快なソプラノのアリアのような展開です。

◯第二曲:ガリラヤの風かおる丘で

この曲も同様の構成ですが、より落ち着いた、瞑想的な世界を目指しました。

(第一曲および第二曲*オルガン独奏:収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第2集」)

(第三曲*歌付き:収録 CD「歌の風便り〜パイプオルガンの響きに乗せて〜」)

賛美歌353番「泉とあふるる」の主題による変奏曲OP.41(1995)*販売譜

●2005年6月17日パイプオルガンコンサート44回パンフレットより

1995年京都御幸町教会で行われたコンサートの為に、同教会から委嘱され作曲しました。5節の歌詞からなる賛美歌で、それにあわせてテーマと4つの変奏に展開しました。バッハのコラール変奏曲とカンタータの様式を組み合わせた曲です。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第6集」)

「アメイジング・グレイス」の主題による変奏曲とフーガ OP.42(1996)*販売譜

アメリカ民謡として又賛美歌第二編167番「われをもすくいし」として愛唱されている「アメイジング・グレイス」をテーマにした変奏曲とフーガです。この曲の歌詞の3つの言葉「驚くべき恵み、その妙なる響き」「恵みが私に恐怖を教え」「一万年もの年月、太陽のように輝く」をイメージして7つの変奏とフーガに仕上げました。(*以下AB二種類の解説があります)

A)五音音階による黒人霊歌風なメロディとバッハの様式を結び付けることは、初めは大変な違和感がありました。しかし元のメロディに対位旋律をつけ、和声を整えると、やがて独特な世界が生まれてきました。

●2018年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.14パンフレットより

B)五音音階による黒人霊歌風なメロディをフーガ主題に用いるのは、おそらく史上初めての試みであり、最初は大変な違和感がありました。しかし和声を整え、対位旋律を工夫すると、音楽は意外とスムーズに展開しはじめ、輝かしく力強い作品が生まれました。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第2集」)

「秋田おばこ」による幻想曲 OP.43(1996)

初演:1996年4月20日酒井多賀志オルガンリサイタル秋田NO.19

*当日、酒井本人による解説より要約版

原曲の「秋田おばこ」は、太鼓を叩きながら主旋律を弾いたり、沢山のこぶしが入ります。それを全部再現するのはとても難しいので、ある程度わかるくらいに、最初と最後に登場します。そしてその間は、秋田おばこの二つのモチーフを大事に使って、ヴァリエーションというよりも幻想曲風に展開したつもりです。少々、現代曲のようですが、最初と最後はもとの曲になるべく近い形で作曲してみました。

(注)秋田民謡へのとり組みは1991年にさかのぼる。酒井貴氏より提案があり、「秋田長持ち唄」「どんぱん節」など5曲を取り入れた「秋田民謡による幻想組曲」Op.34を1992~94年にかけて演奏し、好評を博した。Op.43はそれに続く曲。

クラリネットとオルガンの為のディアローグOP.44(1996)

解説文が見つかり次第、掲載致します。

「故郷」の主題による変奏曲・アダージョとトリオ OP.45(1997)*販売譜

A)「うさぎ追いしかの山」、このなつかしいメロディは、実は賛美歌(コラール)からの影響を受けてつくられたと言われています。今回このメロディをバッヘルベルやバッハに代表される18世紀のコラール変奏曲の技法で九つの変奏に展開しますと、まさしくバッハ風な作品が出来上がりました。その変身ぶりには私自身驚いています。続くアダージョでは「ふるさと」が開発によって自然破壊されて行く悲しみと不安と怒りと回顧を、トリオでは何もなかったかのように時が過ぎてゆく今の「ふるさと」を表現してみました。

●2011年6月24日パイプオルガンコンサート50回パンフレットより

B)「うさぎ追いしかの山」、このなつかしいメロディは、4分の3拍子の断定的なリズムでできており、賛美歌風な性格をもっています。このメロディを18世紀のコラール変奏曲の技法を使って9つの変奏に展開しますと、まさしくバッハ風な作品が出来上がりました。その変身ぶりには私自身驚いています。故郷に対する様々な思いを、その変奏に託しています。

(収録CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第2集」)

聖歌「荒野を旅する」を主題にしたパルティータ OP.46(1998)

復活之キリスト穂高教会委嘱作品

解説文が見つかり次第、掲載致します。

「早春賦」の主題による変奏曲 OP.47(1998)*販売譜

復活之キリスト穂高教会委嘱作品

●初演:1998年6月21日パイプオルガンコンサートNO.37パンフレットより

中田章作曲の「早春賦」を主題にした7つの変奏曲です。バッハのコラール変奏曲の様式を取り入れ、バロック風に仕上げてみました。聞き慣れているメロディが、次々に変身してゆく様子は大変楽しく、我々の周りの身近な素材が、オルガン曲に成りうる事を実感できる作品です。

☆初演時の感想;穂高教会のために安曇野馴染みの唱歌「早春賦」をオルガン曲として準備発表して下さいました。先生の作品「流離」の熱演には感動を禁じ得ませんでした。小さな田舎の教会のコンサートでも一切手を抜かない、一流のオルガニスト魂を教えられた出会いでありました。(復活之キリスト穂高教会・毛見昇牧師様より)

「夕焼小焼」の主題による変奏曲 OP.48(1998)*販売譜

「夕焼小焼」の作詞者中村雨紅は、私の住んでいる八王子市の出身で、陣馬高原ヘつながる街道ぞいに記念の石碑があり、その近くには「夕やけ小やけ農園」もあります。東京の最西に位置し、山と川に囲まれた、素晴らしく景色の良い所です。また八王子市では、夕方の五時の時報にこの曲が使われており、私自身にとっても、大変馴染み深いものとなっております。

(収録CD:酒井多賀志オルガンリサイタル第1集)。

合唱とパイプオルガンの為の組曲「未来への旅立ち」OP.49(1998)

佼成文化協会委嘱作品

今年三月、佼成文化協会からの委嘱を受けて作曲しました。私にとって初めての合唱作品です。「空を貫くキノコ雲」、「闇に怯えた夜は終わり」、「いざ人々よ、共に心合わせて」のフーガ、「今、夜明けの時を迎える」の4曲から成り、ナレーションも伴った曲です。原爆による敗戦の記憶から立ち直り、巨大な経済成長を成し遂げた日本、しかし再び悪夢の様に低迷する現在の危機から脱出しようとする一連の私達の心を表現してみました。

イントロダクションとフーガ 二長調OP.50(1999)*販売譜

A)1900年代最後の今年、又OP.50の節目に、記念碑的な作品に挑みました。今回フーガとしては初めて、私自身のオリジナル主題によるこの曲を作曲しました。このフーガは11/8、8/8、7/8、5/8拍子が複雑に交錯する、今までに無い性格を持った曲で、斬新なスリルに満ちた躍動感が特徴です。イントロダクションは、交響的即興曲「光と風と波の心象」OP.3の一部分を転用しています。追分風なフリーリズムのイントロダクションと、複雑な拍子のフーガ、その結び付きの効果にご期待ください。

●2014年6月27日デジタルパイプオルガンコンサートNO.5パンフレットより

B)1900年代最後の年、世紀末の暗雲を吹払い、新世紀への希望を託した想いもこめて、フーガとしては初めて、私自身のオリジナル主題によってこの曲を作曲しました。このフーガは11/8、8/8、7/8、5/8拍子が複雑に交錯する、今までに無い性格を持った曲で、快活さとスリルと躍動感に満ちています。イントロダクションは、交響的即興曲「光と風と波の心象」op.3の一部分を転用しています。追分風なフリーリズムのイントロダクションと、複雑な拍子のフーガ、その結び付きを通して、日本独自の新しいポリフォニー音楽のスタイルを模索してみました。

(収録CD)

①「酒井多賀志オルガンリサイタル第1集」

②「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜ルネッサンスから希望の未来へ〜」

ヴォーカルとオルガンの為の「南島の詩五章」(詞:俊山和則) OP51(1999)

第一曲:ハイビスカス *販売譜

第二曲:はまかぜ

第三曲:手

第四曲:愛 *販売譜

第五曲:冬の海 *販売譜

喜界島在住の俊山和則氏は、若い頃名瀬市(現奄美市)の知的障害者の施設に入所していましたが、その時、社会的弱者の視点から多くの詩を残しています。

◯第四曲:愛

●2018年6月15日デジタルパイプオルガンコンサートNO13

歌詞の内容に合わせて、柔らかいハーモニーの効果を追求した曲です。

◯第五曲:冬の海

「冬の海」は彼の果たせない夢を語った内容です。オルガンのダイナミックな動きが、波の荒さを表し、ソプラノがその中を突き進む展開です。

(収録CD「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜ルネッサンスから希望の未来へ〜」)

マンドリン、ギター、オルガンの為の序奏とフーガOP.52(1999)

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

マンドリンとオルガンの為の序奏とフーガOP.53(2000)

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

ヴォーカルとオルガンの為の「花の詩」(詞:俊山和則)OP54(1999〜2001)

第一曲:菜の花 *販売譜

第二曲:すみれ *販売譜

第三曲:ハイビスカス

第四曲:あじさい

第五曲:ゆり

●2013年6月29日デジタルパイプオルガンコンサートNO.3パンフレットより

喜界島在住の俊山和則氏は、若い頃名瀬市(現奄美市)の知的障害者の施設に入所していましたが、その時、社会的弱者の視点から多くの詩を残しています。彼の詩は装飾的な言葉はほとんど無く、ストレートな表現になっています。オルガン伴奏による歌曲では、彼のような詩が適しており、今までに10曲以上作曲しています。

◯第一曲:菜の花

(収録 CD「歌の風便り〜パイプオルガンの響きに乗せて〜」)

◯第二曲:すみれ

小さく可憐なイメージを作る為に、手鍵盤のみの伴奏です。八分の五拍子や八分の七拍子などの小刻みな変拍子が交代するスリリングな曲です。

(収録 CD「ソプラノ、マンドリン、パイプオルガンによる〜響きの詩集〜」)

◯第三曲:ハイビスカス

バッハのカンタータで見られるオブリガート付きアリアの様式で作曲しました。

(収録 CD「ソプラノ、マンドリン、パイプオルガンによる〜響きの詩集〜」)

◯第五曲:ゆり

肉厚な花弁を象徴するように、ペダルを加えた重厚な響きを目指しました。意外性を持つ変拍子と、旋律を重ね合わせる対位法の効果が、ゆったりとした内にも、独特の緊張感をかもし出しています。

イントロダクションとフーガ ホ短調OP.55(2000)

*解説文は見つかり次第、掲載致します。

イントロダクションとフーガ ハ長調 (新世紀)OP.56(2001)*販売譜

新世紀の幕開けの期待をこめて2001年に作曲しました。最も身近なハ長調は、新しいミレニアムに向かっての第一歩であることの象徴です。イントロダクションには、私のデビュー作である「完全音程を主体にした3つの作品OP.1(1981)」より、「瞑想的トッカータ」の一部分を使いましたが、これは完全音程が生み出す空虚な響きに象徴される無(ゼロ)からの出発を意味しています。(*以下AB二種類の解説があります)

A)フーガではOP.50で実験済の、変拍子が交錯する性格から生まれる、快活さとスリルと躍動感を大切にしています。この曲ではそうしたイレギュラーなリズムを、より流麗な流れの中に取り込むことを目指しました。OP.50と、ほとんど同じ構成の上に展開された曲ですが、より大規模なものとなり、前曲とは一味違った印象を醸し出しています。

B)フーガでは、変拍子を頻繁に用いて、快活さとスリルと躍動感を生み出し、イレギュラーなリズムでありながらも、流麗な展開を目指しました。

(収録CD)

①「酒井多賀志オルガンリサイタル第3集」 

②「アイザック・スターンホールの須藤オルガン」 

③DVD:「響きわたる音の神殿〜パイプオルガン〜」)

クラリネットとオルガンの為の「ヨイスラ節」の主題による幻想曲    OP.57(2002)

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

日本古謡「さくらさくら」の主題による幻想曲OP.58(2003)*販売譜

●初演:2003年6月20日パイプオルガンコンサートNO.42パンフレットより

A)五音音階によるテーマを使った作品は今まで何曲か手掛けてきましたが、都節音階(短調による五音音階)によるものは、この曲が初めてです。あまりにも日本的な旋律で、しかもイメージが染みついている為、展開には大変苦戦しましたが、邦楽器や島唄とのアンサンブルや、五音音階のテーマ(アメイジング・グレイス)によるフーガの創作等の経験が大変役に立ちました。トッカータとバリエーションとフーガ(ここでは長調でも展開)を組み合わせた結果、壮麗な作品が出来上がりました。

●2013年6月29日デジタルパイプオルガンコンサートNO.3パンフレットより

B)五音音階によるテーマを使った作品は今まで何曲か手掛けてきましたが、都節音階(短調による五音音階)によるものは、この曲が初めてです。トッカータ、変奏曲、トッカータ、フーガ(ここでは長調でも展開)、トッカータの5部分からなる曲で、庭に咲く可憐な桜から、谷に咲き乱れる群生まで、華やかな桜の世界を描くと同時に、日本人の桜に寄せる想いを表現しています。あまりにも日本的な旋律で、しかもイメージが染みついている為、展開には大変苦戦しましたが、トッカータとバリエーションとフーガ(ここでは長調でも展開)を組み合わせた結果、壮麗な作品が出来上がりました。

(収録CD:酒井多賀志オルガンリサイタル第5集)

「我は海の子」の主題による幻想曲 OP.59(2005)*販売譜

●初演:2005年6月17日パイプオルガンコンサートNo44パンフレットより

A)私は海とそこに住む生物が大好きで、奄美諸島ではコンサートの合間に、シュノーケルをつけてサンゴ礁の海を観察するのを毎夏楽しみにしています。また南の島の、嵐で荒れ狂う海はものすごく、しばしばそれを見る為に、波が激しく打ち寄せる海岸を求めて探しに行きます。この曲を作曲しようと思いたったのも、そんな海好きのせいだと思います。歌詞の「白波の騒ぐ磯辺の松原に」「千里寄せくる海の香を」を瞑想して作曲しました。波を表す音形の上にメロディを浮かせる処と、海に生きる者達の住処の象徴としてフーガで展開する処があります。静かな海から荒々しい海まで、様々な顔を持つ海を、対位法と転調を駆使して表現してみました。自然の海の表現よりは、海に生きる者達の想いを表現したつもりです。

●2012年7月26日デジタルパイプオルガンコンサートNO.1パンフレットより

B)四方を海で囲まれた日本の「島国」としての情感を、歌詞の「白波の騒ぐ磯辺の松原に」と「千里寄せくる海の香を」を瞑想しながら作曲しました。波を表す音形の上にメロディを浮かせる処に続いて、静かな海から、荒々しい海まで、その様々な感情を、(対位法と転調を駆使して)フーガで表現してみました。自然の海の描写よりは、「島国」に生きる私達の海に対する想いを表現したつもりです。

(収録CD:「アイザック・スタンホールの須藤オルガン」)

箏とオルガンの為の「幻想曲」 OP.60(2005)

●2016年6月24日デジタルパイプオルガンコンサートNO.9パンフレットより

私の母校である都立武蔵高校の同窓生が主催するコンサートで、同窓の箏奏者・大浦美紀子氏によって2005年に初演されました。箏とのアンサンブルに於いて初めてフーガを取り入れた曲で、それを日本的な響きによって展開できる事に多くの可能性を感じます。近代における日本の家屋が、和室と洋室によって構成されていることと同じ感覚だと思っています。

八重山民謡「船ぬ親ユンタ」の主題による幻想曲OP.61(2006)*販売譜

●2011年6月24日パイプオルガンコンサートNO.50パンフレットより

ユンタは沖縄県八重山地方の作業歌で、男女の掛け合いで歌われます。「船ぬ親ユンタ」は石垣市宮良(みやら)に伝わる三部構成の規模雄大な曲で、船頭の夫婦が一旦は不仲になるものの、よりを戻すといった騒動を面白可笑しく歌っていきます。二人の出自を歌うゆったりとした導入部に続き、妻が「幼馴染の許嫁だった夫に浮気され、怒って実家に戻るが、忘れがたい」と直截に語る第二部、「夫の好物とうまい酒を造って夫の許に帰る」というハッピーな第三部の対比が鮮やかです。その第二部分を活気のあるフーガで展開しました。南国の開放的な情熱に溢れた曲です。

(収録CD:「アイザック・スタンホールの須藤オルガン」)

オルガンとマンドリンオーケストラの為の協奏曲〜紅葉をめぐって〜OP.62(2008)

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

☆コラム☆

●2011年6月24日パイプオルガンコンサートNO.50パンフレットより

◯自主企画50回記念によせて

私は1970年の大阪の万国博オルガンコンクール後から、コンサート活動を開始し、バッハとフランクを中心に演奏していました。しかし70年代後半くらいから、日本でヨーロッパ音楽中心に演奏することの物足りなさや、ある種の疑問が沸き起こり始めました。そうした物足りなさや疑問を解決すべく、又オルガンで日本の情緒をどうやって表現するかを探究する為に、第17回(1981年11月23日:東京カテドラル)から自作自演を開始しました。そうした探究に対して一応の結論に達したのが、瞑想的即興曲「流離」OP.17で、初演は第23回(1985年11月9日)でした。1990年代は、身近なテーマで変奏曲やフーガを作ることを試み、2000年代は、即興的な要素、変奏曲、フーガの3つを組み合わせた幻想曲に取り組みました(略)

2000年代後半からはオルガンと他の分野とのアンサンブルの重要性に気付き、オルガンのコンサートの中にも組み入れてきました。その方向が2010年代の私の主な活動になると思います。

歌「雪の教会クリスマス」(「クリスマスの晩」(詞:北原白秋) OP.63(2011)*販売譜

●2018年6月15日デジタルパイプオルガンコンサートNO.13パンフレットより

北原白秋の詩「クリスマスの晩」を元にした作品です。歌詞の「今夜オルガン弾いてます」を受けて、前奏、間奏、後奏にクリスマスの賛美歌の断片を多数使っています。最後に“Gloria In excelsis Deo”(天のいと高きところには、神に栄光)と歌われますが、これは作曲者が追加したものです。

(収録CD:「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜ルネッサンスから希望の未来へ〜」)

マンドリンとオルガンの為のソナタOP.64(2010)*販売譜

*解説文が見つかり次第、掲載致します。

マンドリンとオルガンの為のイントロダクションとフーガ OP.65(2012)*販売譜

●2014年12月12日デジタルパイプオルガンコンサートNO.6パンフレットより

イントロダクションは哀愁を帯びた旋律で開始され、後半16分音符の掛け合いで盛り上がりますが、次第に収束し、フーガに入ります。フーガは変拍子を用いていますが、手堅い歩みで、最後は大きなクライマックスへと至ります。ヴィルトウオーゾ的要素も有りますが、それよりは、ハーモニーの連結による劇的効果に比重を置いています。

(収録CD:「ソプラノ、マンドリン、パイプオルガンによる〜響の詩集〜」)

歌曲「悩み多きこの身に」(詞:田中英子)OP.66(2012)

●2012年12月19日デジタルパイプオルガンコンサートNO.2パンフレットより

2011年熊本の教会でのコンサートの際に、目の不自由な田中英子さんから、一遍の詩を渡されました。それに作曲をして出来上がりました。

クリスマスの歌3章 OP.67(2013)

第一曲:光の産声(詞:手塚久子) 

第二曲:クリスマスの夜は(詞:晴佐久昌英)  *販売譜

第三曲:クリスマスを祝う(詞:板口冨美子)

●2013年12月20日デジタルパイプオルガンコンサートNO.4パンフレットより

クリスマスの詩集(森田進編、日本キリスト教団出版局)を見ていて、最初に目にとまったのは第二曲「クリスマスの夜は」でした。4行ずつ8節で成りたつ詩で、全体は祈りと願望に満ちています。その内から第1、2、4、6節を選び作曲しました。さらに「光の産声」と「クリスマスを祝う」を選び、前後に配しました。第一曲と第二曲には「天使と共に歌おう」という共通の言葉があり、第二曲と第三曲には「この夜だけは」という共通の言葉があり、つながって行く構成になっています。クリスマスのパーティ的な雰囲気ではなく、キリスト降誕の意義を内省した作品です。

●2015年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.8パンフレットより

◯第二曲:クリスマスの夜は(詞:晴佐久昌英)

歌詞は、カトリックの神父として、また詩人、文学者としても活動中の晴佐久昌英氏による詩集『だいじょうぶだよ』(2001年刊行)に含まれています。8節からなる詩ですが、そのうち4つの節を選びました。各節とも1行目と4行目に「〜たい」という助動詞があてられ、4行目には更に「この夜だけは」という強調が加わり、率直で強い願望と祈りが込められています。音楽はその内省的な性格にそって展開します。

クリスマスの為の前奏曲とフーガ OP.68(2013)*販売譜

●2017年12月15日デジタルパイプオルガンコンサートNO.12パンフレットより

オルガンソロの為のオリジナル作品は7年ぶりです。前奏曲には昭和41年発行のカトリック聖歌集から102番「やみ路になやめる」を使い、待降節の忍耐の様子を描いています。フーガでは、クリスマスの聖歌“Adeste fideles”を変拍子を用いて大きく展開し、クリスマスの喜びに満ちた気分を盛り上げています。最後は幼子を見守る静かな調べとなります。

(収録CD:「ソプラノ、マンドリン、パイプオルガンによる〜響の詩集〜」)

尺八・箏・オルガンの為の「幻想曲」 OP.69(2014)

●2018年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.14パンフレットより

開始は哀愁を帯びた旋律で開始し、その旋律は少し変化を見せながら再度登場します。後半重いハーモニーの連結で盛り上がり、フーガに引き継がれます。フーガは一変して変拍子と速い走句を用いた華やかな曲ですが、終結部は前半の最後の重いハーモニーの連結部分を更に強く盛り上げて再現し、壮大な世界を作ります。

ソプラノとオルガンの為の『天国の窓』より3章  OP.70(2014)*販売譜

第一曲:種  

第二曲:うまれておいで  

第三曲:風にまかせて

●2018年6月15日デジタルパイプオルガンコンサートNO.13パンフレットより

カトリック神父として、また詩人、文学者としても活動中の晴佐久昌英氏による詩集『天国の窓』(2012年刊行)から、小さな生命に関する3つの詩を取り上げ、作曲しました。

◯第一曲、第二曲

伴奏部分は、私の最初のオリジナル曲である「完全音程を主体にした3つの作品」のそれぞれの第1楽章、第2楽章を軸に展開して行きます。

◯第三曲

伴奏部分も新しいアイデアによるもので、風を表す16分音符の動きと、ハーモニー伴奏による落ち着いたレシタティーフの対照が特徴的な曲です。全体は、歌とオルガンが一体化した調和ではなく、それぞれが交互に主張し合う劇的な展開です。

(収録CD:「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜ルネッサンスから希望の未来へ〜」)

OP.71(2015)

非公開

ソプラノとオルガンの為の「天国の窓」より「大切なともだち」 OP.72(2015)*販売譜

●2015年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.8パンフレットより

晴佐久昌英氏による詩集『天国の窓』(2012年刊行)所収のこの詩を取り上げました。詩の内容に合わせて、対話となるよう、二重唱の形をとり、「ずっと一緒だといいな、きっとみんなひとつになるんだよね」の部分をフーガで展開しました。最後の「神様が出会わせてくれた、とっても大切なともだち」の部分は、3回くり返され、特徴的なハーモニーの連結による、劇的な効果が聴きどころです。

    

ソプラノとオルガンの為の「天国の窓」より「君は光」OP.73(2017)*販売譜

●2016年12月16日デジタルパイプオルガンコンサートNO.10パンフレットより

カトリック神父として、また詩人、文学者としても活動中の晴佐久昌英氏による詩集『天国の窓』(2012年刊行)所収のこの詩を取り上げました。いたずら好きの、活発な男の子の様子を、意外性を追求したハーモニーを使って表現してみました。

(収録CD:「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜ルネッサンスから希望の未来へ〜」)

尺八・箏・オルガンの為の幻想曲「一陽来復」  OP.74(2017)*販売譜

●2018年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.14パンフレットより

「一陽来復」とは「冬至から春へ」または「しばらく続いた悪い状態から好転すること」という意味です。クリスマスは元来、ゲルマンの冬至の儀式とキリストの誕生を結びつけたお祭りでした。この曲はそれに倣って、日本における冬至とクリスマスを結び付ける事と、混迷を深める現在の世界情勢が好転する事を願って2017年に作曲しました。4つの楽章からなり、第1楽章はトッカータ、第2楽章は賛美歌第2編94番「久しく待ちにし」の変奏、第3楽章は「清流」、第4楽章はフーガという構成です。

「清流」の原曲は尺八・箏の為の作品で、1989年に三塚さんと小野さんの結婚記念に捧げた曲です。今回その前半を転用しました。フーガは息の長い、規模の大きな曲で、最後のクライマックスまで、徐々に盛り上がって行きます。

(収録CD:遺作CD「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜和から洋を顧みる〜」*オルガン曲として収録)

箏とオルガンの為のレシタティーフとフーガ    OP.75(2018)*販売譜

●2018年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.14パンフレットより

OP.25同様、日本的な要素と西洋的な要素を対置させた曲です。レシタティーフは、1980年代に録音した東京カテドラルでの即興演奏の一部を取り上げ、再構成したものです。フーガは1990年代から作曲するようになり、今では私にとって馴染みの作曲技法になっています。日本の多くの家屋が、和室と洋室で作られているように、フーガも心の洋室として、日本人の心の住まいとなることを願っています。

尺八とオルガンの為のアリアとフーガ  OP.76(2018)*販売譜

●2018年12月14日デジタルパイプオルガンコンサートNO.14パンフレットより

OP.75と姉妹的な作品です。非常にゆったりとしたアリアでは、「追分」的な旋律の流れが特徴です。続く軽快なフーガは、なめらかな和声進行と、終結部のダイナミックな和声の連結が聴きどころです。

ソプラノとオルガンの為の『天国の窓』より「朝の気配」 OP.77(2019)*販売譜

カトリック神父として、また詩人、文学者としても活動中の晴佐久昌英氏による詩集『天国の窓』(2012年刊行)所収のこの詩を取り上げました。

(収録CD:遺作CD「ソプラノとデジタルパイプオルガンによる〜和から洋を顧みる〜」)

父が急逝した令和元年12月13日の1週間後に開催予定であった遺作CDリリース記念コンサートで演奏予定の曲でした(おそらく初演と思われます)。現時点では、そのコンサートの曲目解説文は見つかっていません。見つけることができましたら、掲載させていただきたいと思います。