曲目解説
OP.3 交響的即興曲「光と風と波の心象」 Images of Light Wind and Waves-Symphonic Improvisation op.3
作曲年:1982夏から秋、1984改定
・理論と拍節リズムに支配されている近代の西洋音楽とは異なる発想に起ち、呼吸にあわせた自由なリズムと、1、4、5、8度のいわゆる完全音程のみを協和音とするシンプルな中世のオルガヌム的な発想をもとに1982年に作曲しました。オルガンの響きの空間的広がりの大きさは、大自然を表現するのに大変適しています。尚この曲は、次のようなイメージをもとに生まれました。 人間が生まれるずっと以前から、「光と風と波」は地上の生命を潤しています。人間はいつしか「光と風と波」と対話しはじめ、その対話の中に、自分自身のこころを発見することを覚えました。
数えきれないほどの人々の喜びや悲しみを知っている「光と風と波」が今日も太古から続いているメッセージを伝えてくれます。
・理論と拍節リズムに支配されている近代の西洋音楽とは異なる発想に起ち、呼吸にあわせて、自由に追分風な流れを展開させた作品で、1982年に作曲しました。
一方では、オルガンの響きの空間的広がりの大きさを、大自然に囲まれた日本の風土の表現と結びつける試みに着手し、追求しました。~後 略~
【2017年6月16日デジタルパオプイオルガンコンサートNo11より】
心象イメージ
親しい人が去っていってしまった時、「あなた」の存在を失った私の心は、自然へとむかう。明るい日の出、平原を流れてくるやさしい風の香り、繰り返し打ち寄せる波は、永遠に生き続け、「あなた」のいのちと繋がっているから。派動する光と風と波は皆心の仲間。私の心のうねりも、いつか潮の流れにのって「あなた」の心に打ち寄せるだろう。
収録CDタイトル
「流離〜パイプオルガン、尺八、箏の出会い〜」
初演情報
1982.11.23
会場/東京カテドラル
演奏者/酒井多賀志