曲目解説

OP.1 完全音程を主体にした3つの作品  3 Pieces consist of perfect intervals op.1

作曲年:1981春から秋

第一曲 レシタティーフ・アリアとコラール
Ⅰ Recitative, Aria and Chorale
第二曲 二枚のガラス
Ⅱ  2 Pieces of Glasses
第三曲 瞑想的トッカータ
Ⅲ Toccata in Meditation

私の最初の作品は第三曲「瞑想的トッカータ」で、第一曲・第二曲はそれに続いて作曲し、1981年に発表しました。

◯第一曲:レシタティーフ・アリアとコラール
全体の構成はブクステフーテの5部分トッカータと類似している。コラールのメロディは、復活祭のコラール「キリストは甦りたもう」を使っている。

◯第二曲:二枚のガラス
音が存在しているのにもかかわらず、空虚な響である完全音程と、物質でありながら視覚的には物質ではないガラスという、両者の神秘的な類似性を空想し、その透明な響きを追ってみた。

◯第三曲:瞑想的トッカータ
・完全音程がつくりだす遠い響きの中で、自由に飛翔する躍動感に身をまかせてみた。 ・第3音を欠いた完全音程がつくりだす空虚な遠い響きは、ゼロからの出発を象徴しています。不安と自由が交錯する振動の果てに飛翔する躍動感が印象的な曲です。
【2016年6月24日デジタルパオプイオルガンコンサートNo9パンフレットより】

心象イメージ
◯第一曲:レシタティーフ・アリアとコラール
遠い国からファンファーレがきこえてくる。静かな行列の祈り。復活祭のコラールが澄んだ大気の中にうかびあがる。遠くへ呼ぶ声、応えてくるファンファーレ。

◯第二曲:二枚のガラス
二枚のガラスが陽の光をうけて、眩しく反射しあう。物質でありながら視覚的には物質ではない透明という名の神秘。うつろう虚像が重なりあう光の戯れ。割れるガラス、霧散する幻影。

◯第三曲:瞑想的トッカータ
地上から飛び立った或る大きなエネルギーが、再び地上めざして降りかかる。動めく不気味な振動、次第に力を増してゆく広がり、それがすべてをのみつくす。混乱の中から、又何かが飛び立つ。地上のすべてが崩れゆこうとしている時に、まだ地上の夢をおいつづける群。

初演情報
1981.11.23
会場/東京カテドラル
演奏者/酒井多賀志