曲目解説
OP.32 「赤とんぼ」の主題による変奏曲 Variations on ” Akatombo” op.32
作曲年:1991
*パルナソスホール委嘱作品
三木露風作詩、山田耕筰作曲の「赤とんぼ」を、バッハの時代のバロック様式を使って変奏した作品です。第七変奏では「花かげ」の旋律を背景に、短調に移調した「赤とんぼ」の旋律があらわれますが、これは第3節の「十五で姐やは嫁に行き、お里のたよりも絶えはてた」の場面をあらわしています。十五夜に嫁いでゆく姉の後ろ姿を見送る、寂し気な妹の心情をうたった「花かげ」と重ねあわせ、歌詞の持つ情感をより強く表現してみました。その後の変奏は、歌詞の内容から離れ旋律の持つ可能性をフーガで展開したり、半音階の華やかなトッカータで扱ったりしますが、最後は再び歌詞の世界にもどり、「止まっているよ竿の先」を暗示するように、静かな終止へとむかいます。 【CD「酒井多賀志オルガンリサイタル第3集」曲目解説より】
初演情報
1991.4.14
会場/姫路パルナソスホール
演奏者/Org:酒井多賀志 尺八:三塚幸彦氏 箏:小野美穂子氏 *初演のみ三重奏